絵をガラスに
閉じ込めてください
絵をガラスに閉じ込めてください
片瀬江ノ島駅
神奈川・藤沢市
菅野企画設計
問い合わせ
龍宮城の
ガラス作れますか?
2018年9月
社寺仏閣の建築を手掛ける菅野企画設計の
担当者さんからメールがあった。
片瀬江ノ島に龍宮城をつくるので協力してほしいとのこと。ん?
龍宮城!?
片瀬江ノ島の駅舎は1929年にできた駅で
龍宮城をイメージしたデザインで有名らしい。
それを、東京オリンピック開催にあわせて
改修することになったとのこと。
ここの駅舎に入れるガラスの制作依頼だ。
一体どんなガラスをつくるんだろう…まずは打ち合わせだ。
打ち合わせ
絵をガラスに
閉じ込めたいのですが
初回の打ち合わせで、新駅舎のパースを見る。
これは旧駅舎よりも龍宮城だ…一気にテンション上がる!
設計者さんから、
「建物の正面の窓に江ノ島にまつわる
絵を入れたいんですが、できますか?」
と聞かれる。
絵ですか?
…実は弊社の特技は絵です
これは過去の制作事例で、ガラスをエッチングし、
その上に着色する「彫刻ガラス絵」という技法だ。
そして何を隠そう…
これ手描きなんです!
職人が手描きで絵を起こした後、
ガラスにエッチングと絵付けをして完成させているのだ。
設計者さんもこの技術に興味を持ってくれたようで、
この技法を使おう、というところまで決まった。
デザイン決定
作家さんとの
コラボレーション!
初回打ち合わせから、しばらくして
設計者さんからガラスに入れる絵のモチーフが決まったとの連絡が。
メールに添付された原画を見ると、
こ、これは弁天様?
江ノ島には弁天様が祭られているらしく
新しい建屋に飾る絵のモチーフにはピッタリだ、ということで決まったらしい。
そして原画は神奈川で活躍するアーティスト、
石原七生さんに描いてもらったとのこと。
アーティストさんとのコラボということで、さらに気合が入る。
サンプル作成
完成形が見えるまで
とことん作ってみる
まずは、絵の一部を使ってサンプルを作成してみた。
最初はガラス全面に色を付けて加工してみたが、
うーん、これだとガラスの良さが出ない。
ガラスの透明感を活かせるよう
透過する部分を残して再度サンプルを作成することに。
うん、一気に絵が見やすくなった
一部を光が抜けるので奥行きも感じる!
でも、どうしても波の白い部分がちょっとぼやけてしまう…
背景が白い空間だとぼんやりするかもしれない。さてと…
よし!
もう一丁、サンプル作成だ!
波の部分だけ
グレーにして、再度サンプルを作成してみると。
いい感じ!
まさに波に乗ってきた!
いい感じだ。
これでもう一度、設計者さんと石原さんに見てもらおう。
最終仕様決定
原画完成!
サンプルを見ていただき、
技法についてはOKをもらったが、あとは色味だ。
今回は耐久性を考えて、顔料を使うことにする。
ただ、顔料だとどうしても少し色が沈む。
そこで事前にサンプル色を石原さんに渡して、
顔料の色にあわせて最終の絵を描いてもらった。
最終仕様も決定し、さあ制作だ!
最終製品を制作
職人の技が魅せる
石原さんの原画をもとに、職人が絵を起こし
エッチングを進める。
そして、着色の工程へ。
今回、技術的に難しいのはこの着色だ。
色の吹付けに関しては、職人の経験や勘がものを言う。
今回は、グラデーションやぼかしの表現もあるので難易度は高い。
さあ、グラデーションが綺麗に出るかどうか。
上がってきたガラスを見ると…
グッドグラデーション!
ぼかしやグラデーションも綺麗に表現できてる!
ほっと一安心。
納品
龍宮城具合がすごい!
完成したガラスを納品して、検査に立ち会う。
現地行って驚いた。龍宮城具合がすごい、これは想像以上に龍宮城だ!
関わったアーティストさんも全員集合。
石原さんもいて、「原画より綺麗…」なんて褒めていただいた。
こんなにスペシャルな建物に参加できて、光栄だ!